- Q表情、発声、視線によるコミュニケーション、また手を引いて示すことはできるのですが、ことばが出てきません。ことばを引き出すために、何か家でできることはありますか?
- A
ことばとは、相手に伝えたい内容を、実物を見せる代わりにそれを表す記号で表現することです。
それは発声であったり、身振りであったりするわけですが、ことばが育つにはその土台となるコミュニケーション(相手に伝えたいことを伝えること)の発達がとても重要です。
コミュニケーションが育つには、①本人が伝えたいものがしっかりとしている(興味の育ち)、②相手と意図や情報を共有することに関心がある(はたらきかけに応じてもらえる満足感の育ち)、③指さしや発声によって大人の注意を引けることが分かっている(認知面の育ち)など様々な育ちが密接に関係しています。 相談にあるお子さんの場合、興味をしっかり持つことや大人の手をひくことで自分の要求を実現することができていると言えます。この時期には簡単なことばの理解が始まっていることが多いですが、もしことばの理解がまだ始まっていないようなら、興味のある対象と大人を同時に意識できること(共同注意と言われます)がまだ十分にできていないのかもしれません。
共同注意ができることは、興味があるものを指さすと大人が、「あ、ブーブね」と応じてくれ、物には名前があることが分かってくるといった具合に、ことばの理解や模倣(真似すること)を促すことにつながります。共同注意がまだ十分ではない場合、お子さんが興味を向けているものの名前を、ジェスチャーなど視覚的な情報をつけて言ってあげると、お子さんの注目やことばの理解を促すことにつながります。
もし簡単なことばが分かっているようなら、模倣を促すことがおすすめです。おいしいね、バイバイなど日常的な動作を、はじめはお子さんの手を持ってあげて模倣させてみてはどうでしょうか?きっと、大人の真似っこが楽しくなり、身振りの模倣からことばの模倣につながってくるはずです。
(言語聴覚士 藤本 淳平)