開催趣旨
「緩和ケア」や「ホスピス」という言葉が出てくる前から医療関係者のみでなく、「病むこと」に関わる全ての人たちは「治らない疾患を抱える病者」に対して何をすべきか、何ができるか、何をしてはいけないかを考えてきた。近代医学が「治す」ことに腐心してきたことに呼応するように「治らない」ことに対しての対策が体系化されてきた。
WHO(世界保健機構)(2002)によると緩和ケアとは「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関してきちんとした評価をおこない、それが障害とならないように予防したり対処したりすることで、QOLを改善するためのアプローチ」である。また、英国小児緩和ケア協会/英国小児科学会(1997)によると小児緩和ケアに関して「緩和ケアとは,身体的,情緒的,社会的,スピリチュアルな要素を含む取り組みで、子どもたちのQOL の向上と家族のサポートに焦点を当て,苦痛を与える症状の緩和,ショートブレーク(レスパイトケア),臨死期のケア,死別後のケアを含むものである」と定義した。死は点ではなく、幅を持つものだとすると発症時、疾患と認識されたときから緩和ケアは始まる。単なる看取りでもなく、終末期医療でもない緩和ケアの現状を知りたく、このセミナーを企画した。
近代的なホスピスは1967年、シシリー・ソンダース博士によって開設されたロンドン郊外の聖クリストファー・ホスピスに始まる。主にがんの末期患者の全人的苦痛を、チームを組んでケアしていこうというもので、日本では1981年に浜松の「聖隷三方原病院」、1984年に「淀川キリスト教病院」にホスピスが開設された。
その後各地で様々な試みがあり、緩和ケア加算が可能かどうかにかかわらず多様な疾患に対して緩和ケア−ホスピスが展開されている。今回のセミナーで対象とするのは難病小児と重症心身障害児(者)である。多種多様な職種の関与が必要な緩和ケアにおいてケアの方針、内容、意思決定の方法は手探りの状態である。自らの意思決定に困難が予想される難病小児や重症心身障害児(者)にとっての緩和ケアとは、現状ではどう行われ、何が問題で、今後の進むべき方向は?等を島田療育センターにおいて緩和ケアを指導されている多摩南部地域病院緩和ケア科奥山隆二先生と小児難病の緩和ケアを展開されている成育医療研究センター余谷暢之先生に講演いただくことにした。
久保田雅也
日時
2024年10月5日(土) 14時00分~16時30分
オンライン開催(Zoomウェビナー形式)
対象
患者さん、ご家族、医療・教育・療育・保育・介護に携わっておられる方々
プログラム(予定)
- 14:00開会・『開会挨拶と演者紹介』
社会福祉法人 日本心身障害児協会
島田療育センター 院長 久保田 雅也 - 14:30『小児の緩和医療の現状と課題について』
国立成育医療研究センター総合診療部緩和ケア科
小児がんセンターがん緩和ケア科 診療部長
余谷 暢之 先生 - 15:15休憩
- 15:20『重症児者の緩和医療の現状と課題について』
都立多摩南部地域病院緩和ケア科 部長
奥山 隆二 先生 - 16:05総合討論
参加方法
以下のボタンからウェビナー登録画面に進み、事前申し込みをお願いします。
参加費無料・定員500名
- 本講演会はZoomを利用したオンライン形式の講演会です。PC、タブレット端末、スマートフォンでご視聴いただけます。
- ご視聴にはインターネット環境が必要です。受講に伴う通信料は受講者負担となります。
- 講演会URLの転送や開示、また講演会の録画録音、撮影行為はお控えくださいますようお願い申し上げます。
後援
厚労科研費「遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の医療水準の向上と療養に資する研究システムの構築」班(24FC1008)