当セミナーは終了しました。ご参加ありがとうございました。(9/25)
開催趣旨
当事者研究の対象はケアされる人のみではなくケアする人の問題にまで及んでいる。障害を持つ者のケアに関しては、日本では特に歴史的に家族主義が強く、制度設計も世帯主義が主になっている。昭和53年(1978年)には「厚生白書」に「老親と子の同居はわが国の特質であり,「福祉における含み資産」である」と記された(予算は出すけど後は親が見るようにということ)。昭和54年(1979年)の経済審議会による新経済社会7ヶ年計画では,「個人の自助努力と家庭や近隣・地域社会等の連帯を基盤としつつ,効率のよい政府が適正な公的福祉を重点的に保障する」という日本型福祉社会論が表明された。この方針は今でも続いている。そしてかつては想定されていなかった医ケア児を抱える母親の肩に諸々の問題が重くのしかかっている。
私は最近ある国の神経難病を持つ子どもの親が、幼くしてその子を国の施設に預けるに至った理由として「親には親の人生がある」と言っていることを知った。少なくとも外来では聞いたことがない言葉だが、ひょっとすると言わないだけでこういう思いはあるに違いない。それを飲み込んでいるのか、何かが黙らせているのかはわからない。何故彼の国の母親は「親には親の人生がある」と何のてらいもなく言えるのか。その心底の葛藤や苦悩はわからないが、こういえるのはその国や民族が醸成してきた意識を言語化できるほどに公的資源が揃っているからか、もしくは家族の個々の独立性が親子関係を超越するような機制にあるのか。日本の母親の意識もここに向かっているのだろうか。親が子をみるのは当然という意識そのものが時代性の中にあるだけなのか。条件によっては崩れてしまうものなのか。
「親には親の人生がある」と同様、「子どもには子どもの人生がある」、また「きょうだいにはきょうだいの人生がある」という言葉が、分断としてではなく、むしろナニモノからか自由になる前提だとすれば腑に落ちるところがある。
こういう問題意識で特に神経難病において何が公的にできるか、また当事者の物語から何が見えてくるかを御二人の演者の方に縦横に語っていただき、学びの場としたい。
久保田雅也
日時
2023年 9月 23日(土) 14時00分~16時30分
オンライン開催(Zoomウェビナー形式)
対象
患者さん、ご家族、医療・教育・療育・保育・介護に携わっておられる方々
プログラム
- 14:00開会・『開会挨拶と演者紹介』
社会福祉法人 日本心身障害児協会
島田療育センター 院長 久保田 雅也 - 14:30『国・地方公共団体によるきょうだい支援』
医療法人社団すこやかおやこ ひがしまつど小児科
三平 元 先生 - 15:15休憩
- 15:20『親・ケアラーへの支援をめぐる現状と課題について』
一般社団法人日本ケアラー連盟理事
児玉 真美 先生 - 16:05総合討論
参加方法
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参加費無料・定員500名
- 本講演会はZoomを利用したオンライン形式の講演会です。PC、タブレット端末、スマートフォンでご視聴いただけます。
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